大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和26(し)92 決定

主 文

本件抗告を棄却する。

理 由

本件抗告申立の理由は、抗告人(被告人)にかかる昭和二六年(れ)第一九六〇

号物価統制令違反被告事件につき最高裁判所第一小法廷が昭和二六年一〇月二四日

なした上告棄却の決定は、抗告人が裁判所から指定された提出最終日までに上告趣

意書を提出しなかつたことを理由とするものであるが、抗告人はその提出最終日指

定の通知を受けたことはないから右決定に不服であるというのである。記録並びに

本件のため調査した結果によれば、裁判所は抗告人が当時別の被告事件で高知刑務

所に在監中であつたため上告趣意書提出最終日通知書を同刑務所長に送達したので

あるが、期間内に上告趣意書の提出がなかつたので裁判所は右決定をなしたもので

あることが明らかである。しかし旧刑訴八〇条民訴一六八条によれば、在監者に対

する送達は監獄の長に之を為すべきものであるから、右通知書が刑務所長に適法に

送達されたものである以上、それが同所長から本人に交付されなかつたからといつ

て送達の効力が左右さるべきものではない。従つて期間内に上告趣意書が提出され

なかつたという事実に基いてなされた右決定は少しも違法ということはできない。

ただ抗告人として全く不知の間に上告趣意書提出の機会を失わしめられたことは、

まことに遺憾とすべきであるが、最高裁判所のなした決定に対しては抗告により不

服申立をすることを許されないこというまでもないのであるから、本件抗告は不適

法として棄却するの外はない。(抗告人は本件抗告申立の後上告趣意書を提出して

いるので念のためこれを審査するに、その論旨はいずれも刑訴四〇五条に定めてあ

る上告理由にあたらないものであり、記録を調べて見ても原判決を破棄するに足る

事由も認められないから、この上告趣意書が期間内に提出されたとしても結局上告

棄却の裁判を免れないものである。)

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よつて旧刑訴四四六条に則り裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

昭和二七年一月三一日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 真 野 毅

裁判官 沢 田 竹 治 郎

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 岩 松 三 郎

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